DHMOとは Dihydrogen Monoxide の略であり、次のような物質であることが知られている。
有名な話なので知っている人も多いだろうが、「水」をいかにも危ない物質であるかのように記述したのがDHMOというネタである。一部では「ジョーク」だと言われてしまっているが、ただの冗談ですで終わらせずに、なぜ騙されるかをもう少し掘り下げてみたい。どの記述も「危険なものに使われている」というような煽りであるが、それ自体が本当に危険なのか、危険だとしたらどの程度危険なのか、定量的な議論が一切ないことである。なんとなく危険そうな雰囲気を醸し出しつつ、具体的な議論は避ける。一度「この物質は危険だ」と思い込んだら定量性は気にならず、続く記述をみても「ああやっぱり危険なんだ」と納得する。
DHMOは種明かしすれば「なーんだ」で終わってしまう話だ。しかし身の回りの「危険な物」がDHMOではないと言い切れるだろうか。狂牛病で牛肉怖い、鶏インフルで卵と鶏肉は食えない、O157でカイワレ危険、福島産は放射能でやばい。さてどれが本当に危険なのか。いっそのこと「DHMOに汚染されて食べ物は全て危険!」と煽ってみてはどうだろうか。安心して食べられるものなどこの世になくなってしまうが、そうなって初めて「どれが一番『マシ』か」という話から「これはこの程度までなら摂取しても影響はない」という定量性を考慮した議論が始まる。今こそDHMOの危険を広めるべきだ。