客からすれば商品を識別するため、とも言えるだろうし作る立場から言えば客の目を引くため、という考えもありだろう。新しい製品を作ったらそれにふさわしい名前をつける。別に新しいことを言ってるわけではない。
しかしこのルールに当てはまらない製品が存在する。NVIDIA Geforceだ。
Geforce 8800GT と呼ばれるヒット製品があった。これ自体は成功としかいいようがない製品だったが、この後の開発が続かなかった。一方競合のRadeonは小さな改良を短い周期で行っていたため、新製品が度々出る状態だった。新製品が出るとそれだけで話題になる。話題になることは重要だ。話題から取り残されたGeforceが取ったのは、Geforce 8800GT を 9800GT という名前で売りなおす、という「リネーム戦略」だった。
8800GT-9800GT のリネームを契機に、Geforce 9800GTX+ が GTX250 に、Geforce 210 が 310 にリネームされた。逆に 9600GSO は途中で別製品に入れ替わるという、リネームの逆とも言える現象が起こった。そして 9800GT は GTS240 という名前で再び登場した。
GT330という製品に至っては最初から仕様が決まっておらず、コア数やクロック数がバラバラという状態で売られている。ここまでいくと製品名が全く意味をなしていない。型番をやめて単に「Geforce」で売るべきだ。
リネームが起こるのは製品開発に失敗した証拠。新製品が作れなかったので穴埋めとして旧製品を売りなおします、と言っている。事実上の敗北宣言だと言えるだろう。リネームが始まった時はまだGeforceの方が圧倒的に優勢だった。しかし今思えばリネームした時点でRadeonに追撃されることはもう決まっていたのだ。
なお、これを NVIDIA Rename Technology と呼ぶ人がいるらしい。リネームで新製品を開発するNVIDIAの独自技術だという皮肉だ。もっと皮肉なのは他社にも伝染し、Radeonが失敗したときにはRadeonもリネームを行ったということだ。
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